春に散る」は、ボクシング映画の王道をいく作品だ。
ボクシング映画の醍醐味は、なんと言っても対戦シーンにあり、役者の力量が問われる。黒木翔吾役の横浜流星、対峙する中西役の窪田正孝、二人ともしっかり体を作ってきており、見応えがあった。
そして、最も重要なのが、黒木のトレーナー役(広岡仁一)の存在だ。
本作では、佐藤浩一が好演しており、彼の存在がこの物語の軸となる。
脇を固める、片岡鶴太郎と哀川翔。山口智子、橋本環奈のキャスティングもいい。

原作は「深夜特急」の沢木耕太郎。ボクサーにしか分からない、人生観や描写は、スポーツライターでもある沢木ならではのものなのだろう。

題名の「春に散る」はこの物語を実によく表している。
二人にとって「春」とは何か、「散る」という言葉に込められた意味とは何なのか
劇場で、是非確かめてほしい。(★★★★)