リュック・ベッソンの今回の作品は、ドッグマン。そのタイトル通り、犬と共に生きた主人公の苦悩と、自身との戦いの半生を描いた作品だ。実際にあった事件をもとにベッソン自身が脚本を描いている。
冒頭、十数匹の犬をトラックに乗せた女装男性を、警察が止めるシーンから始まるが、状況がまったくわからない。ただ、怪我を負っている状況から、事件性があることだけはうかがい知れる。何かあったのか?

この作品は、心の痛みや、信頼や絆を、犬との無垢な関係から描いている。
「家族と犬とどっちを愛してる?」この答えが、その後の彼の人生を決める。

従順な犬たちには、善悪はわからない、ただ主人との深い絆があるだけ。
ここで描かれるのは、理不尽な社会と厳しい現実だ。

犬との関係性は、「グラン・ブルー」のイルカとの関係性を、
バイオレンスシーンは「ニキータ」や「LEON」を彷彿とさせる。
映画「ドッグマン」は人生の激しさと、切なさを感じる、ベッソン監督らしい作品。
私の好きなタイプの映画です。(★★★★☆4.3)