このイマジネーションどこから湧いてくるのか。
映画「MEN 同じ顔の男たち」はエクス・マキナのアレックス・ガーランドの作品だが、本作も形のないものを映像と演出で見事に描いている。話の筋としては、夫の死を目の前で見た妻が、心の傷を癒すために田舎を訪れ、そこで不可解な出来事を体験するという物語だ。不可解な出来事とは、タイトルにあるように、出会う男が同じ顔であること。これが何を意味するかは、映画を見て確認してほしい。
例によって、この作品、西洋的宗教観が背景にあり、我々日本人にとっては理解しずらい部分が多い。
冒頭、主人公のハーパーが庭のリンゴをかじるシーンがあるが、これは旧約聖書でイブが蛇にだまされて禁断の果実を食べてしまうことと同じく、物語の始まりを示しており、この作品のテーマである、男と女の関係を示すプロローグである。
何を意味しているかを理解するには、後半で起こる「その男たち」が巻き起こす不可解な出来事や彼らの話からその意図を推測するしかない。
追いかけてくるように現れる謎の男たち、見透かされているような意味深なセリフ。
まるで、悪夢を見ているようだ。(★★★☆)