生まれつき耳が聞こえないケイコが、下町のボクシングジムでプロボクサーとなり戦い続ける物語。テーマ的には、小笠原恵子の原案のタイトル「まけないで!」のほうが本質を表している。
これは、自分と戦う物語だ。
現実を受け止め、自分と戦いながら、前に進むことの大切さを、この物語は教えてくれる。耳が聞こえないことで誤解され、話せないことで気持ちが伝わらない。
彼女はプロボクサーとして自己を確立することで、人との心の交流を実感し、孤独感から少しだけ解放される。

主演の岸井ゆきの演技、負けん気な目がいいです。暖かく彼女を見守る会長役の三浦友和のキャスティングもハマっています。
カメラはそんな彼女の日常を淡々と追いかけます。
派手さはありませんが、心に残る作品です。(★★★★)

◎ケイコ 目を澄まして公式サイト