名古屋駅の駅裏に「シネマスコーレ」という小さな映画館がある。名古屋人の私にとっては、馴染みの名画座だ。実はこの映画館、映画監督、若松浩二が作った映画館であり、その開館とその後を描いたのが本作である。


本作の時代背景が、まさに私の大学時代と重なっており、私の友人が支配人と知り合いということもあって、開館について、なんとなく話を聞いた気がするが、実際に、このようなドラマがあったとは‥。

物語は、若松監督が、伝手をたよって支配人を依頼するところから始まるのだが、アルバイトの女性が、愛知学院大学の映画研究会が絡んだ設定になっていたり、河合塾が映画を作る話がエピソードとして盛り込まれていたりなど、私の身近な世界で起こっていたことが描かれていることに驚いた。
 

映画自体も、シネマスコーレで観た。当然、スクリーンに映画館の入口や試写室などが映し出されることになるのだが、これがなんとも言いようのない不思議な感覚だった。特に舞台挨拶のシーンはより不思議な感覚だった。

若松監督役は、井浦新さんが演じているが、本作が2作目ともあって、若松節が自然すぎて全く違和感がない。

主人公の井上淳一は、本映画の監督本人のこと、つまりこの映画は井上監督のことであり、監督自身の自叙伝にもなっているところも面白い。
(★★★★)

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